12月の誕生石は、ターコイズです。
ターコイズは和名で『トルコ石(土耳古石)』といいます。
ターコイズに接した世界中の人々の間で、例外なく”天の石”とされました。
中東とアジア、南米大陸がこの石の産地として知られていますが、
そこにすむ民族の間では、その色に天上の神々の力が宿っていると考えられ、
中東のイラン(旧ペルシア)やエジプトでは、今から6000年前の昔に
すでに装飾用に使用する目的で採掘されていました。
最初は、自然崇拝の感覚で神聖な石として取り扱われていましたが、
次第に天の精霊に捧げるという姿勢で身につけるようになっていきました。
民族によりいくぶん宗教観の違いはあったようですが、中東ではあくまでも天空神に捧げるという目的で
宇宙観のある石の「ラピスラズリ」と組み合わせて用いました。
アジアと南米大陸では、天が授けた”血の滾り”を宿していると考えた「赤い珊瑚」とこの石を組み合わせています。
この石は、ネイティブ・アメリカンにとっては特別神聖なものでした。
中でも、ナバホ族は天により近づくためにもっとも高い山に登り雨乞いなどの儀式を行いました。
この石を粉にして山上の大地に呪文や紋様を描き、自らの身体にも描き祈りを捧げました。
そのことから、この石には『スカイ・ストーン Skystone』の別名がつきました。
じつは、古代の人々がこの石に力があると考えたのには理由があります。
ターコイズは、地下水に溶けている成分から微細な結晶粒が集合した形で誕生します。
なので、この結晶粒の間には常に水分が存在しています。
しかし、ターコイズは地中から発掘されるとたちまちその水分を放出して乾燥します。
中央アメリカのアステカ族は、この石には魔力があり、持ち主に危険が訪れると色が褪せると信じられていました。
この石は、それを所持している人がしょっちゅういじっていると、
水分の蒸発によって生じた結晶粒の隙間が人の手の油を吸収して次第に
生き生きと透明感を増してとても美しい宝石に変化してきます。
この変化の状態がとても神秘的に感じられ、おそらくは人知の及ばない世界のもの、ととらえたのでしょう。
しかし、それもこれも、この石が構造上で持っている結晶粒同士の空間がなせる業なのです。
現在は、人口処理が加えられる究極のものとして知られていますが、
それはこの構造あってのことなのです。
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【参考】天然石のエンサイクロペディア 著:飯田孝一