3月の誕生石は アクアマリン と、 サンゴ(コーラル)です。
アクアマリンは和名で『藍柱石・藍玉』と呼ばれています。
サンゴは和名で『珊瑚・さんご』と呼ばれています。
アクアマリンは、ラテン語で”海の水”を意味する名前としてアクアマリンと呼ばれるようになったそうです。
ヨーロッパでは、この石は古くから軍船団のお守りとして使われてきました。
これは、ギリシャ神話の中で、
「大洋のそこに住む海の精が持っていた宝物が
嵐により海が大きく荒れたために海岸に打ち上げられて発見された」
とされているため、そこから”沈まない、浮かび上がる”という縁起が生まれたようです。
アクアマリンは、エメラルドと同じ『ベリル族』の鉱物で、水色は微量な鉄(Fe)元素がもたらしております。
その元素は、1つの血漿の中で複数の形態をとって存在しており、
それが原因で水色には若干の緑や黄色が加わっています。
アクアマリンに熱を加えると、澄んだ水色に変化します。
それは、結晶中の鉄が、複数の形態をしていたのに対し、熱され、1つの形態に整えられるからです。
その際に、インクルージョン(内包物)の状態によっては、熱が加わりそこから割れてしまうことがあるので、
前もってクリアな部分のみをカットしてから行うことが必要です。
また、アクアマリンは、エメラルドよりもインクルージョンの上が少ないという傾向にありますが、
熱を加える前に原石を仕立てるということがその傾向をより顕著なものにしています。
サンゴは、珊瑚虫という微少な腔腸動物のポリプが海中で作った樹形状の骨格のことです。
サンゴは、陸に打ち上げられると次第に乾燥して珊瑚虫は死に、
骨格を覆っていたポリプがはげ落ちて、内部の骨格だけになります。
その骨格はとても堅く、古代の人々は
「海底の国に茂っていた木が陸に打ち上げられて硬い石に変わったモノ」
と考えていたようです。
サンゴは、宝石として東方へ伝えられますが、その伝播ルートは胡の国を通ったといわれています。
その過程で、楽器としても使われていました。
和名の『珊』という文字は、素材を棧に下げた状態を表しています。
枝を紐で吊してたたくと、キンッと涼しげな音がするそうです。
漢字からは、『胡の国を通った珊という楽器』という側面もあります。
また、宝石に使われる珊瑚は、珊瑚礁を形成するものより、深い海の中で生育します。
そこから深海の精霊が宿っていると考えられ、
『血の滾りと生命の躍動』を持つ宝石として使われていったそうです。
【参考】天然石のエンサイクロペディア 著:飯田孝一