9月の誕生石は、 ラピスラズリ と サファイア です。
ラピスラズリは和名で「青金石」といい、
サファイアは和名で「青玉・鋼玉」といいます。
ラピスラズリは、インドの宝石商人により初めてヨーロッパに持ち込まれましたが、
古代エジプトの人々は数千年の長きにわたってこの石を宝石に使ってきました。
青の色には魔を寄せ付けない力があると信じられ、そこにいかなるものにも冒されない力を持つとされていました。
そのため、最初は護符として使われていたようです。
昔は、ラピスラズリはギリシアでは『サッペイロス -Sappeiros』、
ローマでは『サッピールス -Sappirus』と呼ばれていて、
サファイアという石の名前は、元はこのラピスラズリを指していました。
この石はシルク・ロードを通ってヨーロッパへ運ばれてきました。
後には船を使って地中海を渡り、そこで”はるばる海を越えてきた”という意味で
“ウルトラマリン -ultramarine”という名前が生まれ、そこから「ウルトラマリン・ブルー」という語ができました。
また、古くに中国から日本へと伝わり、”岩絵の具”として使われ、『群青』と呼ばれました。
鉱物の世界では、この石を青金石と呼んでいますが、”瑠璃”もよく知られている和名の一つですね。
(るりとは、「七宝(七珍」の1つに対しての呼び名)
日本だけでなく、世界中のが形が、ラピスラズリを使い、壁画や祭壇を美しいブルーで飾りました。
そのときに『ラピスラズリ』という名前が生まれたそうです。
ラテン語で石を意味する ”ラピス -lapis” に、青い色を意味する ”ラズリ lazuli” がついたのが語源とされています。
ラピスラズリは、「ラズライト(青金石)」を主体として、
「アウィン(藍宝石)」と「ソーダライト(方曹達石)」と「ノゼアン(黝方石)」の集合から形成されています。
また、それと同時に形成されたパイライトが点在し、
この状態から『青金石』という和名が名付けられたとされています。
古代のペルシアでは、人々が住む大地はサファイアでできていて、
大地に反射した太陽の光が空の青さを作り出していると考えて居ました。
サファイアの名前の語源は、ラテン語の青い色という意味の
“サッピールス sappirus” からきています。
しかし、昔ははラピスラズリのことをサファイアと呼んでいました。
ローマ時代の頃は、色の違いが石の違いだと思っていたため、
サファイアは、ルビーとは全く違う宝石だと考えられていました。
しかし、1783年にフランスのロメ・ド・リールがサファイアとルビーが同じ石であると解明しました。
そして、1798年にはイギリスのチャールズ・フランシス・グレヴィルが、
この2つの石が含まれる系統の名前を『コランダム Corundum』としました。
彼は、コランダムと名付けるとき、サンスクリット語の「クルビンダ kuruvinda」を引用しましたが、
実はこれはインド人がルビーを呼ぶときの名前でした。
このようなことがあたためか、宝石のコランダムを分類する際、ラテン語で
赤い石を『ルベウス rubeus(赤い色)』
青い石を『サッピールス saoohirus(青い色)』
というように区分けしました。
しかし、コランダムは多色で、いつからか赤以外の石がサファイアとされてしまいました。
サファイアは、結晶に不純物として含まれる
鉄、チタン、クロムなどの金属酸化物によって色がつくことが知られています。
純粋なサファイアは実は無色なものですが、
現実に完全に無色のサファイアとなると極めて希なものとされています。
ここまで多色だと、サファイアという鉱物の、自分好みの色を探したくなりますね!
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【参考】天然石のエンサイクロペディア 著:飯田孝一